特定不妊治療助成金制度とは?
こちらは令和3(2021)年1月1日以降の制度説明となります。令和2(2020)年12月31日以前は制度内容が異なりますのでご注意ください。
子育て支援の様々な施策の中でも、特に「お金(給付金、手当金、助成金、支援金)」が必要となる不妊治療。今回は、『特定不妊治療助成金制度』についてご紹介します。
特定不妊治療助成金制度とは?
特定不妊治療助成金制度とは、医療保険が適用されない不妊治療(体外受精または顕微受精)の経済的負担の軽減を図るため、配偶者間の不妊治療にかかった高額な医療費の一部が助成される制度です。
特定不妊治療とは?助成金の対象となる治療方法は?
「特定不妊治療」とは、「体外受精」または「顕微授精」のことを示しています。そして、特定不妊治療助成金制度の対象の治療方法は、「特定不妊治療」つまり、「体外受精」または「顕微受精」となります。
簡単に不妊治療の種類をご紹介しますと、「タイミング法」、「人工授精」、「体外受精」、「顕微授精」の大きく4段階にわけることができます。特定不妊治療助成金制度は、1回の治療費が何十万円と高額である「体外受精」と「顕微授精」が対象となりますので、医療保険の対象となる「タイミング法」と医療保険の対象外ですが1回の治療費が数万円程の「人工授精」は、特定不妊治療助成金制度の対象外となります。
▼不妊治療の種類と助成金対象となる治療法
タイミング法 ×(対象外)…排卵日を予測して妊娠の可能性が高い日に性交渉する方法
人工授精 ×(対象外)…排卵日付近に子宮腔内に運動性が良好な精子を入れる方法
体外受精 ○助成金対象 …卵子の入っている培養液に精子を入れて受精する方法
顕微授精 ○助成金対象 …細い針を使って卵子の中に精子を直接注入する方法
男性不妊(※) ○助成金対象 …精子を精巣または精巣上体から採取するための手術
(※)男性不妊・・・特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)に至る過程の一環として行われる、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)、又は精巣内精子吸引採取法(TESA)という治療法の費用の一部が助成されます。
特定不妊治療助成金制度の対象者は?誰が使えるの?
特定不妊治療助成金制度が使える対象者は、特定不妊治療以外の治療法では、妊娠の見込みがないか、または、極めて可能性が少ないと、医師に診断された夫婦(妻の年齢が治療期間の初日に43歳未満であること)となります。夫側に年齢条件はありませんが、妻側に年齢条件が設けられているため、要注意です。
以前は所得制限があり、夫婦合算の所得が730万円未満である必要がありましたが、令和3(2021)年1月以降は所得制限は撤廃され高所得者でも給付金の対象となりました。
また、夫婦とありますが、原則は法律婚の夫婦(婚姻届けを出している夫婦)を対象としていますが、生まれてくる子どもの福祉に配慮しながら事実婚関係にある者(婚姻届けを出していない夫婦)※1 も、対象とされています。
しかし、医療機関によっては、婚姻届けを出していない夫婦は、婚姻届けを出している夫婦以上に、戸籍謄本や住民票など二人が子どもを健全に育てていくことが本当にできるのか証明する書類を提出する必要がある場合があります。
※1 事実婚(婚姻届けを出していない夫婦)
事実婚(婚姻届けを出していない夫婦)とは一般的に、お互いに婚姻の意思があり、なおかつ、共同生活して生計を共にするカップルが、婚姻届を提出していない状態のことをいいます。つまり、法律婚夫婦との違いは、婚姻届けを出していないだけということになります。
また、事実婚と同様に内縁や内縁関係といった言葉もありますが、内縁も事実婚と同様に婚姻届を提出しない状態であり、大きく意味が異なるわけではありません。しいていえば、意図して婚姻届を出さない場合を「事実婚」と呼び、何らかの事情で婚姻届を出せない場合などを「内縁」と用いることがあるようです。
特定不妊治療助成金制度でもらえる助成金額と回数は?
特定不妊治療助成金制度でもらえる助成金額は、1子ごとに1回30万円となります。採卵したが卵子が得られなかったなどの理由により中止した治療費関しては1回10万円となります。男性側の不妊治療(精子を精巣または精巣上体から採取するための手術)を行った場合は、1回30万円となります。
特定不妊治療助成金制度で助成金が貰える通算回数は、初めて助成金を受けた時の治療期間の初日に妻の年齢が40歳未満の場合は、1子ごとに6回までとなり、妻の年齢が40歳以上43歳未満の場合は、1子ごとに3回までとなります。
令和3(2021)年1月以降は、特定不妊治療助成金制度の見直しがされ内容が拡充されましたが、以前は、助成金額と助成回数共に少なくありました。
▼特定不妊治療助成金制度でもらえる助成金額と回数
- 妻 40歳未満 1回30万円 1子ごとに6回まで
- 妻 40歳以上43歳未満 1回30万円 1子ごとに3回まで
- 夫 1回30万円
特定不妊治療助成金制度の令和3(2021)年以降の拡充内容
特定不妊治療助成金制度の制度内容の拡充は徐々に増えてきており、不妊治療に悩む夫婦に少しずつ寄り添ってきています。令和3(2021)年1月1日以降の拡充内容とその前の制度内容を比較していますので、ご確認ください。所得制限、助成額、助成回数が、拡充され、幅広い夫婦に回数多く助成できるようになりました。
▼特定不妊治療助成金制度の令和3(2021)年以降の拡充内容と以前の比較
■拡充後 令和3(2021)年以降
所得制限:撤廃
助成額 :1回30万円
助成回数:1子ごと6回まで
(40歳以上43歳未満は3回)
対象年齢:妻の年齢が43歳未満
- ■拡充前 令和2(2020)年以前
所得制限:夫婦合算で730万円未満
助成額 :1回15万円(初回のみ30万円)
助成回数:生涯で通算6回まで
(40歳以上43歳未満は3回)
対象年齢:左記同様
特定不妊治療助成金制度が使える医療機関は?病院は?
特定不妊治療助成金制度が使える病院は、厚生労働省のホームページに掲載されている、または、そこからリンク先に掲載されている、「指定医療機関」となります。
以下、厚生労働省のホームページをご確認ください。
不妊に悩む方への特定治療支援事業 指定医療機関一覧
不妊に悩む方への特定治療支援事業
指定医療機関一覧
全国の指定医療機関一覧 ※医療機関の指定は各実施主体(都道府県、指定都市、中核市)が行っています。
(参考)各実施主体のホームページ
都道府県
北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
指定都市
札幌市 仙台市 さいたま市 千葉市 横浜市 川崎市 相模原市 新潟市 静岡市 浜松市 名古屋市 京都市 大阪市 堺市 神戸市 岡山市 広島市 北九州市 福岡市 熊本市中核市
厚生労働省 ホーム >政策について >分野別の政策一覧 > 子ども・子育て >子ども・子育て支援 >母子保健及び子どもの慢性的な疾病についての対策 > 不妊治療に関する取組み >不妊に悩む方への特定治療支援事業 指定医療機関一覧
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※各自治体名をクリックすると、各自治体の指定医療機関一覧が掲載されたホームページへジャンプします。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047346.html
特定不妊治療助成金制度の申請方法は?
特定不妊治療助成金制度の申請方法は、指定医療機関で1回の治療終了後に、必要書類を準備して、お住まいの市区町村の窓口もしくは郵送などで提出します。指定機関での治療中の領収書は必ず大切に保管しておいてください。
申請してから3~4カ月前後で、特定不妊治療助成金制度の対象となるか、承認または不承認の結果通知(決定通知書)が届き、結果通知の1カ月後程度に、ご自身が指定した銀行口座に助成金が振り込まれます。
特定不妊治療助成金制度の申請期限は、1回の治療が終了した日の属する年度末(3月31日)となります。
「1回の治療」が終了した日とは、妊娠の確認(妊娠の有無は問わない)の日、又は医師の判断によりやむを得ず治療を終了した日を指しています。
1月から3月までに終了した特定不妊治療費の申請をする場合の特例
各年度の3月31日が申請期限ですが、1月から3月までに特定不妊治療が終了したもので、3月31日まで(当該年度内まで)に申請書等が提出できない場合は、6月30日(消印有効)までの期間に限って申請が可能です。
ただし、4月1日以降の申請はすべて、新年度助成となりますので、住民票等の必要書類は、年度1回目として添付が必要となります(事実婚の方は毎回提出が必須となります)。
特定不妊治療助成金制度の申請で必要な書類は?
特定不妊治療助成金制度の申請の際に必要となる書類は、特定不妊治療費助成申請書、特定不妊治療費助成事業受診等証明書、住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)、戸籍全部事項証明(戸籍謄本)、申請者と配偶者それぞれの所得関係書類として住民税課税(非課税)証明書または住民税額決定通知書、領収書(指定医療機関が発行したもの)となります。
男性不妊治療の場合は、それらに加えて、精巣内精子生検採取法等受診等証明書とその領収書が必要となります。
原本とコピーのどちらを提出するのか指定されていますので、ご注意ください。
▼特定不妊治療助成金制度の申請書類
No. | 必要書類 | 原本orコピー | 留意点 |
1 | 特定不妊治療費助成申請書 | 原本 | ・申請者・配偶者が記入してください。 ・1回の治療につき1枚必要です。 ・必ず、提出先の市区町村の様式をお使いください。 |
2 | 特定不妊治療費助成事業受診等証明書 | 原本 | ・指定医療機関が記入します。 ・1回の治療につき1枚必要です。 ・本人控えとして、コピーを取った上で原本を御提出ください。 ・必ず、提出先の市区町村の様式をお使いください。 |
3 | 住民票の写し (マイナンバーの記載がないもの) | 原本 | ・夫婦それぞれの住所、続柄、生年月日等を確認するための書類です。 ・申請日から3カ月以内に発行されたものに限ります。 ・別居の場合は、ご夫婦両方の居住地の住民票が必要です。 ・事実婚の場合、同一世帯であることがわかる住民票 (例:未届の夫、未届の妻と記載があるもの) ・続柄省略不可 ・4月以降の申請1回目の場合は提出が必須です。 ・出産による回数リセットをご希望の方は、世帯全員が記載されている最新のものをご提出ください。 ・同一年度2回目以降の申請でも、前回申請時から変更があった方、事実婚の方、回数リセットをご希望の方は省略できません。 |
4 | 戸籍全部事項証明(戸籍謄本) | 原本 | ・婚姻関係、婚姻日等を確認するための書類です。 ・申請2回目以降は、法律上婚姻している夫婦で、住民票の続柄で婚姻関係が確認できる場合のみ省略できます。ただし、住民票の続柄で婚姻関係が確認できない方は戸籍全部事項証明書が必要です。(例 別居の場合、世帯主が親の場合、夫婦それぞれが世帯主の場合など) ・申請日から3カ月以内に発行されたものに限ります。 ・戸籍全部事項証明書で婚姻関係が確認できない外国籍の夫婦の場合は、結婚証明書を添付してください(コピー可)。 ・事実婚の方は、毎回夫婦両方の戸籍全部事項証明書をご提出ください。外国籍の方は、独身証明書を提出してください。 |
5 | 申請者と配偶者それぞれの所得関係書類(下記のいずれか) ・住民税課税(非課税)証明書 ・住民税額決定通知書 ※「住民税額決定通知書」に反映されない所得がある場合は、「住民税課税証明書」をご提出ください。 | コピー | ・申請者と配偶者の所得額を確認するための書類です。 ・住民税課税(非課税)証明書は1月1日現在の住所地の区市町村で発行されます。住民税課税証明書の発行が可能になる日は区市町村により異なります。お問合せは各区市町村にお願いします。 ・ご夫婦それぞれの証明書が必要です。収入がない場合や扶養されている場合は非課税証明をご提出ください。 ・申請日によって審査対象年度が異なります。何年度の書類が必要かあらかじめご確認ください。 |
6 | 領収書 (指定医療機関が発行したもの。) | コピー | ・医療機関への支払額を確認する書類です。複数回の申請をまとめて行う場合、領収書のコピーは申請書ごとに分けてください。 ・領収書は以下の内容であることが必要です。 →「特定不妊治療費助成事業受診等証明書」に記載された「領収書の期間」内のものであり、助成対象となる治療費に係るものであること。 →合計金額が申請額以上か同額であること。 ・原本はご本人が保管してください。 ・請求書やクレジット売上票では受付できません。 |
7 | 精巣内精子生検採取法等受診等証明書 | 原本 | ・夫が助成の対象となる手術を行った場合に提出します。 ・手術を実施した医療機関が記入します。 ・必ず、妻の指定医療機関の主治医が記載する特定不妊治療費助成事業受診等証明書を合わせて申請してください。 |
8 | 上記7に係る領収書 | コピー | ・7の「精巣内精子生検採取法等受診等証明書」に記載された治療費に係るもの。 ・原本は、ご本人が保管してください。 |
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